歯を失う原因として最も多い歯周病は、歯を支える歯周組織に炎症を起こして支えをなくし、歯をぐらつかせてしまう病気です。
それだけでなく、全身の疾患にも影響を与えるため、注意しなければなりません。
特に注意が必要なのが、心筋梗塞です。
歯周病と心筋梗塞の関係について、解説します。
歯周病と心筋梗塞の関係
歯周病は、歯周病菌という細菌によって引き起こされる病気です。
主に歯茎をはじめとした歯周組織に歯周病菌が感染して、炎症を起こします。
歯周病菌と呼ばれる細菌には、アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンスやプロフィロモナス・ジンジバリスなどがあり、細菌によって働きには若干の違いがあります。
歯周病が悪化して起こるのが、菌血症です。
なぜなら、歯肉の奥にある歯槽骨が溶けて歯周ポケットが深くなってしまい、歯周ポケットの内部で増殖した菌が歯周組織を破壊して、歯周病菌が血液の中に混じるためです。
歯周病菌は、血流とともに全身へと広がっていきます。
血管内で動脈硬化を起こしている箇所を歯周病菌が混じった血液が通った際、歯周病菌は毒性物質や炎症性物質を産生します。
その結果、動脈硬化を促進して血管を詰まりやすくしてしまうのです。
動脈硬化が悪化するとさまざまな疾患を引き起こします。
心筋梗塞も動脈硬化によって引き起こされる病気の1つです。
心筋梗塞とは?
心筋梗塞とは、冠動脈が詰まることで血流が止まり、心臓が機能を停止する病気です。
冠動脈は心臓へと酸素や栄養分を届けるための通り道で、完全に詰まってしまうと心臓には酸素も栄養も届かなくなってしまいます。
ほとんどの場合心筋梗塞は、血栓が急に形成されることで突然起こる、急性心筋梗塞です。
似たような病気に、冠動脈が狭くなる狭心症があります。
狭心症との違いは、冠動脈が詰まるか、狭くなるかという点です。
狭くなるだけならまだ差し迫った状況ではありませんが、完全に詰まってしまうと心臓への通り道を急いで確保しなければいけません。
心筋梗塞が起こった場合、胸の痛みや圧迫感などが生じて、30分以上継続します。
しばらく安静にしたり、処方されているニトログリセリンを服用したりと対処しても、痛みや圧迫感は治まりません。
まとめ
歯周病になった時、影響があるのは口内だけだと思っている人もいるでしょう。
しかし、実は口内だけではなく、全身に影響を及ぼすこともあるため注意しなければなりません。
特に注意したいのが、動脈硬化によっておこる可能性がある心筋梗塞です。
心筋梗塞は、心臓につながる冠動脈が詰まることで、心臓に栄養や酸素が行き届かなくなり心臓が壊死してしまう病気です。
狭心症など、動脈硬化によって起こる症状が出ている場合は注意してください。