歯肉に炎症が起こっても放置していると、いずれは歯を支える歯槽骨などの歯周組織全体に炎症が広がり、歯は支えを失ってしまいます。
歯肉をはじめとした歯周組織に炎症が起こる病気を歯周病といいますが、実は歯周病の影響は全身に及ぶのです。
歯周病と、特に注意が必要な脳梗塞との関係を解説します。
歯周病と脳梗塞の関係
歯周病は、歯周病菌という細菌が原因で起こる病気です。
歯周病菌と呼ばれる細菌にはいくつかの種類があり、歯肉や歯槽骨、歯根膜などさまざまな歯周組織に炎症を起こしていきます。
歯周病は、最初に歯肉の炎症を起こして徐々に内側へと進行していきます。
やがて、歯肉の奥にある歯槽骨で炎症を起こし、歯槽骨を溶かしてしまうのです。
歯槽骨が溶けると、歯周ポケットが深くなり、歯周ポケットの内部で増殖した菌が歯周組織を破壊して、歯周病菌が血液の中に混じる菌血症が起こります。
菌血症になると、歯周病菌は血流とともに全身へと広がっていくのです。
歯周病菌が前身に広がる時に血管内で動脈硬化を起こしている箇所を通ると、動脈硬化が悪化する可能性があります。
なぜなら、歯周病菌は毒性物質や炎症性物質を産生するからです。
その結果、動脈硬化が悪化して、血管が詰まりやすくなってしまうのです。
動脈硬化が悪化すると、さまざまな疾患の原因となります。
脳梗塞も、動脈硬化によっておこる病気の1つであり、治療できたとしても麻痺などの後遺症が残りやすいため、注意しなければなりません。
脳梗塞とは?
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、脳に栄養分や酸素が届かなくなることで、脳の機能が停止してしまう病気です。
日本人の死因第3位の病気で、年間約11万人が亡くなっています。
歯周病になると、原因菌が動脈硬化を誘導する物質を産生します。
また、血管内にドロッとした脂肪性沈着物のプラークがあると、血管が狭くなってしまい、細い血管は詰まってしまうのです。
脳梗塞が起こると、数時間以内には死亡してしまいます。
また、治療するまでの間に死亡した脳の再生は難しく、手足がマヒしたり言葉を発しにくくなることが多いのです。
後遺症が起こると、歯磨きがしづらくなるためプラークが残りやすくなります。
また、口の機能が低下して食べ物が口内に残り、歯茎に炎症が起こりやすくなることもあります。
さらに、食べ物が飲み込みにくくなるため、栄養不足になって免疫力が低下する可能性もあり、歯周病のリスクが上がってしまうのです。
まとめ
歯周病の影響は、口内だけではなく全身の疾患にも及びます。
脳梗塞は脳の血管が詰まる病気で、急に発症すると数時間で死亡し、治ったとしてもマヒなどの後遺症が残りやすいのです。
脳梗塞にはさまざまな原因がありますが、歯周病も原因の1つに挙げられています。
したがって、歯周病を予防することで発症リスクを抑えることが可能です。
歯周病にならないよう、定期的にクリーニングを受けることをおすすめします。