歯を治療する際に、虫歯が深いところまで到達していると神経がむき出しになってしまうことがあります。
一般的には、むき出しになった神経は取り除きますが、近年では神経を取り除かないMTA歯髄温存療法も行われています。
MTA歯髄温存療法がどのような治療なのか解説します。
MTA歯髄温存療法とは?
MTA歯髄温存療法とは、虫歯治療の際に神経がむき出しになっている場合でも、神経を取り除かずに行える治療です。
歯の神経を可能な限り温存できるよう、むき出しになってしまった神経をMTAセメントで覆います。
虫歯が神経まで到達した場合、従来は麻酔をして神経を取り除く治療を行っていました。
しかし、神経には歯に痛みや温度などの感覚を伝える役割だけでなく、歯に栄養や水分を与えたり細菌の進行を食い止めたりする働きもあります。
そのため、神経を取り除いた歯はもろくなり、歯根破折が起こりやすくなってしまいます。
また、痛みを感じなくなるため、虫歯の進行に気づかないことも珍しくありません。
いつの間にか虫歯が末期まで進行してしまうこともよくあります。
歯の神経を取り除いて神経のあった部分に詰め物をする根管治療を受けた場合、歯を失うリスクは前歯の部分が1.8倍、奥歯では7.4倍にもなるというデータもあります。
歯は神経がなければ、寿命が短くなってしまうのです。
MTA歯髄温存療法に使われるのは、MTAセメントです。
生体親和性が高く人体に優しい材料で、密閉性や殺菌性にも優れています。
また、石灰化促進作用があるので歯が修復しやすい特徴があります。
MTA歯髄温存療法が不可能なケース
MTA歯髄温存療法は、全てのケースで行える方法ではありません。
症状によっては、行えないケースもあるのです。
行えないケースについて、解説します。
まず、歯の神経が死んでいる場合は行えません。
なぜなら、生きた歯の神経を可能な限り温存する治療方法だからです。
次に、強い痛みのある歯や刺激に対して強い反応がある歯は神経が炎症を起こしているため、神経を取り除く治療を行う必要があります。
ゆえに、MTA歯髄温存療法は行えません。
まとめ
虫歯治療は症状が末期の場合は神経を取り除く治療を行いますが、歯の寿命が短くなるというデメリットがあります。
そのため、近年では、歯の神経を可能な限り保存する治療を行うケースが増えているのです。
MTA歯髄温存療法は、歯をできるだけ残しておきたいという人にお勧めの治療方法です。
ただし、全てのケースで行えるわけではないことに留意してください。
虫歯を悪化させないためにも、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。