2024年9月から歯生え薬の治験が始まる、というニュースを見たことがある人もいるかもしれません。
歯生え薬は欠如している歯を再生する薬ですが、今回、先天性無歯症を対象として治験を開始することが発表されました。
先天性無歯症は希少疾患であることから、どのような疾患なのか知らない人も多いでしょう。
今回は、先天性無歯症について解説します。
先天性無歯症とは?
無歯症という疾患について、知らない人も多いでしょう。
無歯症とは、名前の通り一部の歯が生えてこない疾患です。
中でも、先天性無歯症は生まれつき歯や永久歯が欠如している疾患です。
無歯症は、一部だけ歯が欠如している部分的無歯症と、全ての歯が欠如している全部性無歯症に分けられます。
無歯症の大半は部分的無歯症で、親知らずを含めた永久歯が1本以上欠如している人は全人口の約10%というデータもあります。
永久歯が6本以上欠如している場合は遺伝性の先天性無歯症です。
発症頻度は全人口の0.1%ほどと、約1000人に1人の希少疾患なのです。
欠如歯が6本以上ある場合は、厚生労働省が定めた先天性疾患の条件に当てはまります。
一般的な審美目的の矯正治療やインプラント治療には保険は適用されません。
しかし、先天性疾患の条件に当てはまれば、保険診療での治療が可能になります。
ただし、矯正治療の場合は指定自立支援医療機関の指定を受けている病院に限られる点に注意が必要です。
インプラント治療の場合は、5つの特定の条件を満たした病院に限られます。
先天性無歯症の原因は?
先天性無歯症になる原因は、具体的にはまだよくわかっていません。
歯が1~2本欠如しているだけなら、食生活の変化が原因で退化している可能性も考えられます。
また、薬の副作用や栄養不足などで欠如していることもあるでしょう。
風疹や梅毒などの病気、外傷、放射線障害なども、歯が欠如する原因になる場合があります。
歯が3本以上欠如している場合は、遺伝が原因である可能性もあります。
永久歯の欠如が発生しやすい部位は、上下額の第三大臼歯(親知らず)、上顎側切歯(上顎の前から2番目の歯)、上下顎第二小臼歯(前から5番目の歯)などです。
乳歯の場合は、上下顎乳側切歯(前から2番目の歯)が欠損するケースがよくみられます。
歯がない状態が長期間続くため、歯並びに問題がでてくるほか、以下のトラブルが起こります。
• 咀嚼障害
• 発音障害
• 顎関節への影響
• 顔貌への影響 など
まとめ
先天性無歯症とは、一部の歯が欠如している疾患と全ての歯が欠如している疾患に分けられます。
全人口の約10%は、一部の歯が欠如しているといわれている疾患です。
6本以上欠如している場合は遺伝性の無歯症であり、全人口の0.1%の割合でみられます。
先天性無歯症の具体的な原因は、よくわかっていません。
歯が1~2本欠如しているだけなら、食生活の変化が原因で退化している可能性もあります。