歯周病を発症すると歯茎が炎症を起こし、歯周組織が破壊され、最終的には歯を支えることができなくなり抜け落ちてしまいます。
歯周病の治療は、歯周病菌を除去すると同時に、歯を支える組織も再生させなければなりません。
今回は、歯周組織を再生させる歯周組織再生療法について解説します。
歯周組織再生療法について
歯周組織とは、歯茎や歯根膜、歯槽骨など歯の周辺にある歯を支える組織のことです。
歯周組織を再生する治療を、歯周組織再生療法といいます。
歯周病を発症すると炎症が起こり、歯周組織は破壊されてしまいます。
最終的には歯が抜け落ちてしまうのです。
破壊された歯周組織は自然に回復することはありません。
そのため、薬によって組織の再生を促す歯周組織再生療法が必要になります。
歯周組織再生療法の流れ
歯周組織再生療法は、どのような流れで進められていくのでしょうか?
治療の流れは、主に次のとおりです。
1. 歯周病と骨の欠損部分の状態を確認
2. 麻酔をかけて歯茎を切開し、欠損部分を明確にする
3. 歯の根の部分を徹底的に清掃
4. 組織誘導薬剤を歯の周辺へ注入
5. 歯茎を縫合し、薬剤を密閉
それぞれの治療について、詳しく解説します。
1. 歯周病と骨の欠損部分の状態を確認
歯周組織再生療法が適応できるのか確認し、歯周ポケットの深さをものさしで計測したりレントゲンなどを活用したりして診断します。
患者さんに術式の詳細な説明をして、同意が得られれば治療を開始します。
なお、基礎疾患がある患者さんは身体に負担がかかるため、事前に治療を受けられるかを主治医に確認しなければなりません。
2. 麻酔をかけ歯茎の切開し、欠損部分を明確にする
局所麻酔をかけて歯茎を切開し、骨の欠損部分を明確にします。
麻酔をかけて行うため、切開の際に痛みは感じないでしょう。
3. 歯の根の部分を徹底的に清掃
歯垢や歯石が残っていると、組織誘導薬剤の効果を十分に得られないため、歯の根の部分を徹底的に清掃します。
4. 清掃した部分に組織誘導薬剤を注入
清掃した歯の根の周辺に、組織誘導薬剤を注入します。
5. 歯茎を縫合し、薬剤を密閉
組織誘導薬剤を注入後、歯茎を縫合します。
2週間前後が経過してから抜歯をするケースが多いでしょう。
密閉された組織誘導薬剤は、半年から1年をかけて患者さん自身の体の一部に変化します。
まとめ
歯周病を発症すると歯を支えている歯周組織が破壊され、最終的には歯は抜け落ちてしまいます。
歯を残すためにも、破壊された歯周組織を再生させるべく、歯周組織再生療法を行う必要があるのです。
欠損部分を徹底的に清掃し、薬剤を注入して歯周組織の再生を促すという治療方法ですが、基礎疾患がある人はリスクがあるため、治療を受ける前に主治医に相談しましょう。