動脈硬化とは、簡単にいうと老化によって血管が硬くなり、脆くなることをいいます。
若いうちは血管に弾力がありますが、そのしなやかさは加齢とともに少しずつ失われていきます。
また歯周病を発症すると、動脈硬化を併発する可能性が高くなるとされています。
今回はこちらの仕組みについて解説します。
歯周病が動脈硬化につながる仕組み
動脈硬化の主な原因は、日常生活におけるストレスや生活習慣の乱れだと考えられていました。
しかし近年は、歯周病もその原因の一つとされています。
血液に侵入した歯周病菌は、血管の内側に炎症を起こし、プラークを蓄積させます。
その結果、血管壁が分厚くなり、動脈硬化につながるという仕組みです。
また動脈硬化を発症すると、血流が悪化して酸素や養分を送ることができず、脳血管疾患や心疾患などの全身疾患につながるおそれもあります。
歯周病とその他の疾患の関係性
歯周病は動脈硬化だけでなく、糖尿病や低体重子出産などとも関連性が深いです。
歯周病の状態を放置していると、そこから生まれる毒素や炎症性反応物質が血管を通し、全身に送られます。
これにより、筋肉細胞や脂肪細胞に作用して糖の代謝が妨げられたり、膵臓でつくられるインスリンの働きが弱まったりして、糖尿病を発症します。
また歯周病から来る毒素や炎症性反応物質は、子宮筋に作用して子宮の収縮を早め、低体重児出産や早産のリスクも高めます。
妊娠中は女性ホルモンや悪阻の関係で歯周病を発症しやすいため、注意が必要です。
歯周病治療は動脈硬化の予防につながる
前述の通り、動脈硬化の原因の一つに生活習慣の乱れが挙げられます。
こちらは歯周病を発症する原因でもあるため、歯周病予防を行うことで、同時に動脈硬化のリスクも軽減できます。
また歯周病予防の基本は、何といっても毎日のブラッシングです。
丁寧なブラッシングでプラークを除去することにより、歯周病菌の活性化を抑えることができます。
ちなみにプラークが石化した歯石については、自宅でのブラッシングでは落とすのが難しいため、歯科クリニックで除去してもらいましょう。
まとめ
歯周病は世界一感染者数が多い感染症であり、成人の8割以上が感染していると言われています。
つまり、成人の8割以上は、動脈硬化のリスクを抱えているということです。
また糖尿病や低体重児出産など、歯周病はさまざまな合併症を引き起こすため、なるべく早期発見を心掛けましょう。
歯周病は自覚症状が出にくいため、気付いた頃にはすでにある程度症状が進行していることもあります。